公正証書遺言の作成
公正証書遺言の作成

公正証書遺言は、公証役場において公証人が作成するものです。

遺言者がご自分で公証役場へ問合せをして、公正証書遺言を作成することも可能です。けれども、まずは司法書士にご相談くだされば、じゅうぶんな時間をお取りしてお話を伺いますし、遺言書内容についてじっくりと検討することができます。

また、公証人との事前打ち合わせも司法書士にすべておまかせいただけます。専門家同士で準備をしますからスムーズに進みますし、ご自分で難しい手続きなどをする必要は一切ありません。

立会証人(2名)の用意も当事務所におまかせいただけますし、司法書士が遺言執行者になることもできます。遺言書の作成は、相続手続き、および法律の専門家である司法書士にぜひご相談ください。

1.公正証書遺言作成の手続き

2.公正証書遺言作成の必要書類

3.公証人の手数料(公正証書遺言の作成費用)

4.公証役場での手続きの流れ

5.どこの公証役場へ行くのか(公証人の管轄)

6.公正証書遺言の例

7.証人について

1.公正証書遺言作成の手続き

高島司法書士事務所に、公正証書遺言の作成をご依頼くださった場合、次のような手順で手続きが進みます。

最初のご相談の際に、どのような内容の遺言がご希望であるのかお話を伺います。漠然としたお考えでも結構ですし、法律的に正しい遺言であるかなどを気にする必要はありません。司法書士がじっくりとお話を伺ったうえで、遺言の内容について検討していきます。

誰が相続人であるのか、また、法定相続分や法定相続分と異なる遺産の配分を望む場合には遺留分なども考慮しながら、相続人間に争いが生じるのを防げるような遺言内容にします。司法書士との事前打ち合わせは一度だけに限らず、必要であれば何度でも時間をお取りしますから、遺言の内容に不安を感じることはありません。

ご相談内容にもとづいて、司法書士が遺言書の文案を作成します。ご依頼者に遺言書案をご覧いただいたうえで、お考えのとおり間違いのない遺言となっているかを確認します。

司法書士が作成した遺言書の文案を公証役場に持ち込み、公証人との事前打ち合わせをします。このときまでに、必要書類のすべてをご用意いただき、公証人による確認を受けておきます。

公証人が作成した遺言書(案)ができあがったら、事前に司法書士の事務所あてに送られてくるので、遺言書作成当日よりも前に内容をご確認いただけます。

事前に決めておいた日時に公証役場へ行きます。このとき、2人以上の証人も同行する必要があります(未成年者、推定相続人、受遺者等は証人になれません)。当事務所に遺言書作成を依頼くださった場合、司法書士が1人目の証人となります。さらに2人目も当事務所でご用意することも可能ですのでご相談ください。

2.公正証書遺言作成の必要書類

公正証書遺言を作成するには、通常次のような書類が必要となります。

  • 遺言者の印鑑証明書
  • 遺言者の戸籍謄本
  • 財産をもらう人が相続人の場合は、遺言者との相続関係がわかる戸籍謄本
  • 財産をもらう人が相続人以外の場合は、その人の住民票
  • 遺言する財産が不動産の場合は登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書(または、固定資産の納税通知書)
  • 証人(立会人)の住民票(または、運転免許証のコピー)

金融資産の内容については、とくに資料がなくとも口頭でお伝えくだされば結構です。ただし、銀行預金や株券などを個別に記載するときは、その内容を確認するため通帳などもご用意いただきます。

また、公証人の手数料(公正証書遺言の作成費用)は、遺言書作成の当日に、公証役場で直接お支払いいただきます。

3.公証人の手数料(公正証書遺言の作成費用)

公正証書遺言を作成するための公証人手数料は、遺言により相続(遺贈)する財産の価額、また、相続(遺贈)させる相続人(受遺者)の数などにより計算しますが、例としては次のようになります。

この他に正本・謄本の作成費用(1枚につき250円)がかかります。また、公証人が病院や自宅へ出張する場合は、通常の手数料額の2分の1が加算され、さらに日当・旅費がかかります。

相続財産の価額 相続させる相続人 公証人手数料
    5,000万円 配偶者(妻・夫)のみ     40,000円
    5,000万円 配偶者3,000万円、子2,000万円     57,000円
    8,000万円 配偶者(妻・夫)のみ     54,000円
    8,000万円 配偶者6,000万円、子2,000万円     77,000円

公証人手数料の計算方法については、日本公証人連合会手数料(公正証書作成等に要する費用)のページをご覧ください。

4.公証役場での手続きの流れ

公証役場での遺言書作成の手続きは次のように進みます。当日は、司法書士も公証役場へ同行しますし、難しいやり取りをすることはありませんからご心配は不要です。

公正証書遺言の作成は次のような手順でおこなうものとされています(民法969条)。

  1. 遺言者は、証人2人以上を立会人として、公証人に対して遺言内容を口頭で伝える。
  2. 公証人が、遺言者が口頭で伝えた遺言内容を筆記して、遺言書を作成する。
  3. 公証人は、作成した遺言書を、遺言者および証人に読み聞かせる(または、閲覧させる)。
  4. 出来上がった遺言書に、遺言者、証人、公証人が署名押印をして完成。

遺言内容を口頭で伝えるとなると難しそうに思われるかもしれませんが、公正証書遺言の作成を司法書士にご相談いただいた場合には、司法書士が事前に公証人との打合せを済ませておきます。

そのため、公証役場へ行ったときには既に遺言書が完成していますから、遺言者が一から遺言の内容を説明する必要はありません。当日は遺言内容を確認して、署名押印をしていただくだけです。具体的には、次のような流れで手続きが進みます。

  1. 遺言者が、氏名、生年月日などを述べることにより本人確認をする(事前に印鑑証明書等の提出をしていますから、形式的なものです)。
  2. 配偶者、子など、推定相続人の確認をします。
  3. どのようなきっかけで遺言を作成することとしたのか、誰にどの遺産を相続させるかなど、公証人から遺言者に対して口頭での確認がおこなわれます。
  4. 公証人が遺言書(案)を読み上げます。その遺言内容で間違いないことが確認できたら、遺言者と立会証人2名が指定の箇所に署名押印します。

公正証書遺言の要件を満たすために上記のような手順がとられますが、基本的には公証人の質問に答えていくだけです。公証役場と司法書士との間で事前に打ち合わせをしてあるわけですから、何も難しいことはありません。

5.どこの公証役場へ行くのか(公証人の管轄)

公証人の職務は、原則として公証役場でおこなうことになっていますが、事情により公証役場へ出向けない場合には、公証人に病院や自宅などへ出張してもらうことも可能です(別途費用がかかります)。

しかし、公証人は自己が所属している法務局の管轄外では職務をおこなえません。たとえば、松戸公証役場の公証人は千葉地方法務局に所属していますから、千葉県外に出張して遺言書を作成することはできません。

ただし、公証役場に行って手続きをするのであれば、どこにある公証役場でも大丈夫です。東京都、埼玉県、茨城県にお住まいの方が、千葉県松戸市にある松戸公証役場で公正証書遺言を作成しても全く問題ないわけです。

実際、当事務所にご相談にお越しいただき公正証書遺言を作成する場合には、松戸公証役場を利用することが多いです。同じ公証役場での手続きのほうが、事前打ち合わせなどもスムーズに進むからです。もちろん、別の公証役場での手続きも可能ですから、ご希望があればご相談ください。

6.公正証書遺言の例

下記は妻に全財産を相続させる場合の基本的な例です。実際に遺言書を作成する際には、司法書士がお考えをよく伺ったうえで、適切な遺言書(案)を作成します。

平成28年第   号

遺言公正証書

 本公証人は、遺言者○○○○の嘱託により、証人高島一寛、○○○○の立会いをもって次の遺言の趣旨の口述を筆記し、この証書を作成する。

第1条 遺言者○○○○は、遺言書の有する下記の財産(不動産が共有持分の場合には、その持分の全て)を,遺言者の妻(昭和  年  月  日生)に相続させる。

1.不動産

(1)土地

所在 松戸市新松戸一丁目

地番 ○番1

宅地 100.00平方メートル

(2)建物

所在 松戸市新松戸一丁目○番地1

家屋番号 ○番1

種類 居宅

構造 木造瓦葺2階建

床面積 1階 50.00平方メートル
    2階 45.00平方メートル

2.前記1に記載の不動産のほか、相続開始時において有するその他の不動産、動産、現金、預金、貯金、有価証券、その他一切の財産。

第 条 遺言者は、この遺言の執行者として、前記    を指定する。

2 遺言執行者は、遺言者の不動産、預貯金、有価証券その他の債権等遺言者名義の遺産のすべてについて、遺言執行者の名において名義変更、解約等の手続をし、また、貸金庫を開扉し、内容物の収受を行い、本遺言を執行するため必要な一切の権限を有するものとする。なお、この権限の行使に当たり、相続人の同意は不要である。

3 遺言執行者は、必要なとき、他の者に対してその任務の全部又は一部を行わせることができる。

(以下 省略)

7.証人について

推定相続人の配偶者および直系血族は証人になれません。

推定相続人とは、現状のままで相続が開始したときに、その人の相続人となるはずの人をいいます。たとえば、遺言者に配偶者と子がいれば、その配偶者と子が推定相続人であるわけです。

直系血族とは父母、祖父母、子、孫などですから、推定相続人の配偶者や子は証人になれないことになります。また、推定相続人の兄弟姉妹は、その兄弟姉妹自身が遺言者の推定相続人ですから証人になれないのは当然です。

そこで、推定相続人の親族で証人になれるのは、推定相続人の配偶者の兄弟姉妹や、推定相続人の子の配偶者などかなり限られることになります。当事務所へ公正証書遺言の作成をご依頼ただいた場合、1人目の証人は司法書士が務めるのが通常です(証人としての追加費用はなし)。2人目の証人についても当事務所で用意することもできますのでご相談ください。

(証人及び立会人の欠格事由)

民法第974条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

一 未成年者

二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人


司法書士高島一寛

千葉司法書士会 登録番号第845号

簡裁訴訟代理関係業務 認定番号第104095号

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(略歴)
・1989年 千葉県立小金高等学校卒業
・1993年 立教大学社会学部卒業
・2000年 司法書士試験合格
・2002年 松戸市で司法書士高島一寛事務所を開設

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松戸市の高島司法書士事務所は2002年2月の事務所開業から20年以上の長期にわたり、ホームページやブログからお問い合わせくださった個人のお客様からのご相談を多数うけたまわってまいりました。

当事務所の新規開業から2023年末までの相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)の申請件数は1200件を超えています。


事務所所在地(地図)

千葉県松戸市松戸1176-2 KAMEI.BLD.306

松戸駅東口徒歩1分(詳しい事務所地図はこちら

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