同時死亡の場合の相続人

同時に死亡した人については、互いに相続人となりません(相続人の決まり方の基本はこちら)。下の図で、事故などに遭い夫Aと長男Dが同時に死亡した場合、夫Aと長男Dの相続人になるのは誰でしょうか。

同時死亡の相続関係

夫Aの相続人になるのは、妻Bと長女Cです。同時に死亡した長男Dは相続人にならないので、長男の妻EはAの遺産に対して何らの権利も持ちません。妻Eが、夫であるDを引き継いでAの相続人となるというようなことにはならないのです。

また、長男Dの相続人になるのは、配偶者であるEと直系尊属であるBです。このように、同時死亡の場合には、互いに相続人とならないわけです。なお、ここでいう同時死亡とは、現実に同時刻に死亡した場合だけでなく、「他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないとき」は、同時に死亡したものと推定するとされています。

(同時死亡の推定)

民法第32条の2 数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

・同時死亡と代襲相続

上の事例と同様に、事故などに遭い夫Aと長男Dが同時に死亡した場合であっても、長男Dと妻Eの間に子がいるときには、2人の子であるFがDを代襲して相続人となります。

これは、被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときに代襲相続が生じるとされているからで、この相続の開始以前には、同時死亡の場合も含まれるのです。

同時死亡の場合の相続

(子及びその代襲者等の相続権)

民法第887条 被相続人の子は、相続人となる。

2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

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