離婚時の財産分与による不動産登記(名義変更、所有権移転)
財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して取得した財産を、離婚する際(または離婚後)に分けることをいいます。離婚をした人の一方は、離婚の相手方に対して財産の分与を請求することができます。そして、分与した財産が不動産である場合、財産分与による所有権移転登記(名義変更)をします。

財産分与による登記は、現在の所有者(分与者)と、財産分与を受ける方(被分与者)の共同申請によりおこないます(裁判上の離婚で、登記の単独申請が可能な場合を除く)。そして、登記申請ができるのは、離婚成立(離婚届の提出)の後です。

そのため、とくに協議離婚の場合には、離婚届を提出してしまった後に登記手続きをしようとしても、相手方の協力を得るのがが難しいこともあるでしょう。そのようなことを防ぐには、離婚協議書の作成、登記必要書類の準備などを事前に済ませておくべきです。

離婚にともない不動産の財産分与を受けようとするときには、離婚届を出してしまう前にまずは司法書士にご相談ください。

財産分与による所有権移転登記 目次
1.財産分与による所有権移転登記の必要書類
   1-1.協議離婚の場合
   1-2.裁判上の離婚(調停、審判、訴訟)の場合
2.不動産を財産分与する際の注意点
   2-1.財産分与の日付
   2-2.住宅ローンの債務者変更
   2-3.離婚公正証書の作成
   2-4.財産分与と贈与税

高島司法書士事務所へのご相談

1.財産分与登記の必要書類など

離婚時の財産分与による所有権移転登記では、協議離婚による場合と、調停など裁判上の離婚による場合とで異なります。

1-1.協議離婚の場合

協議離婚の場合には、財産分与をする方(登記義務者)、財産分与を受ける方(登記権利者)が共同で登記申請をします。したがって、司法書士への委任状にも、当事者の双方に署名押印をいただくことになります。

財産分与による所有権移転登記を法務局に申請するのは離婚届の提出後です。そこで、協議離婚にともない不動産の財産分与を受けようとするときは、事前に登記手続きの準備を整えておくのが良いでしょう。当事者間で話を進めてしまう前に、まずは司法書士にご相談ください。

協議離婚による場合など、登記権利者(被分与者)と登記義務者(分与者)の共同申請による場合のおもな必要書類です。

1.財産分与を受ける方(登記権利者)

(1) 住民票

(2) 印鑑(認め印)

2.財産分与をする方(登記義務者)

(1) 不動産の登記済権利証、または、登記識別情報通知

(2) 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)

(3) 印鑑(実印)

(4) 固定資産評価証明書(登記をする年度のもの)

(5) 離婚の記載のある戸籍謄本(離婚日の確認のため)

上記の他に、登記原因証明情報、および司法書士への委任状(権利者、義務者の双方)が必要ですが、どちらも司法書士が作成したものに署名押印をいただくのが通常です。また、各書類等についての解説は次のとおりです。

・固定資産評価証明書について

固定資産評価証明書は市役所(東京23区の場合は都税事務所)で取れますが、まずは、固定資産税の納税通知書(土地・過去の価格が出ているもの)をお持ちいただければ、登記費用のお見積もりは可能です。

・財産分与する方の住所・氏名について

財産分与する方の登記簿上の住所(氏名)が、印鑑証明書の住所(氏名)と異なる場合、財産分与による所有権移転登記に先立ち、所有権登記名義人住所(氏名)変更の登記が必要です。その際は、住所変更の経緯が分かる住民票(戸籍附票)、氏名変更が分かる戸籍謄本等が必要です。

・財産分与する方(登記義務者)の本人確認について

財産分与する方については、運転免許証、パスポート等によるご本人確認、および登記申請意思の確認が必要です。また、登記申請の必要書類(登記原因証明情報、登記申請委任状)への押印は実印をご使用いただきます。

1-2.裁判上の離婚(調停、審判、訴訟)の場合

調停、審判、訴訟など裁判上の離婚の場合、財産分与を受ける方(登記権利者)が単独で登記申請できることがあります。このときは、登記をする際に相手方(登記義務者)の協力を得る必要がありません。

登記権利者による単独申請が可能なのは、調停調書等に次のような記載がある場合です。「申立人は、相手方に対し、離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」。

したがって、「申立人と相手方は協力して所有権移転登記をする」というような記載の場合には単独申請ができず、登記権利者と登記義務者が共同申請をしなければなりません。

1.財産分与を受ける方(登記権利者)

(1) 登記原因証明情報(調停調書、審判書、和解調書等)

(2) 住民票

(3) 印鑑(認め印)

(4) 固定資産評価証明書(登記をする年度のもの)

上記書類の他に、司法書士への委任状が必要ですが、当事務所で作成したものに署名押印をいただきます。また、各書類等についての解説は次のとおりです。

・固定資産評価証明書について

固定資産評価証明書は市役所(東京23区の場合は都税事務所)で取れますが、まずは、固定資産税の納税通知書(土地・過去の価格が出ているもの)をお持ちいただければ、登記費用のお見積もりは可能です。

・財産分与する方の住所・氏名について

財産分与する方(登記義務者)の登記簿上の住所が、調停調書記載の現住所と異なる場合、財産分与による所有権移転登記に先立ち、所有権登記名義人住所変更の登記が必要ですが、この住所変更の登記についても、相手方(財産分与の登記義務者)の協力を得ずにおこなうことができます(代位による登記)。また、氏名(姓)が変更になっている場合も、同様に事前の変更登記が必要です。

2.財産分与による所有権移転登記の注意点

2-1.財産分与の日付について

登記される財産分与の日付は、財産分与の協議が成立した日です。ただし、協議離婚による場合で、離婚届提出前に財産分与の協議が成立していたときには、離婚届を提出した日が財産分与の日付となります。

2-2.住宅ローンの債務者変更について

住宅ローンが残っている不動産を財産分与する場合、財産分与による所有権移転登記をしても、住宅ローンの債務者は変更されません。

たとえば、夫が所有者で、かつ住宅ローン債務者である不動産を妻に財産分与し、それに伴う所有権移転登記をしたとします。この場合、所有者は妻となりますが、住宅ローン債務者は夫のままです。

もしも、債務者の変更をするならば、借入先(銀行等)の承諾を得る必要がありますが、なかなか難しい場合も多いでしょう。

なお、債権者の承諾を得ていなくても、財産分与による所有権移転登記をしてしまうことは可能です。しかし、借入先に無断で名義変更をするのは、住宅ローン契約に違反する可能性が高いので注意が必要です。

2-3.離婚公正証書の作成

協議離婚をする際に、財産分与、慰謝料、養育費などの取り決めをするときには、離婚協議書を公正証書により作成することをお勧めします。離婚給付契約についての公正証書があれば、支払いがおこなわれなかった際に、ただちに相手方の財産に強制執行(差押え)をすることができるからです。

公正証書を作成しても、財産分与による不動産の名義変更(所有権移転登記)については、相手方の協力を得て手続きをしなければなりませんが、うまく段取りをすることで安心確実に名義変更をすることが可能です。

2-4.財産分与と税金(贈与税など)

財産分与として不動産(土地、建物など)の名義を変更した場合に、贈与税がかかることは通常ありません。財産分与は贈与ではなく、財産分与は夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のためにおこなわれるものだからです。また、不動産取得税についても、共有財産の清算的な財産分与であれば課税されません。

ただし、財産分与をした側には譲渡所得の課税がおこなわれることになります。さらに、不動産の名義変更をする際には、登録免許税もかかります。

・関連情報

財産分与の登記申請書・委任状

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