被相続人の除籍(改製原戸籍)謄本が取れないとき

相続登記をする際には、被相続人についての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本により、法定相続人の全員を明らかにします(遺言による相続登記の場合を除く)。

被相続人の子の全員を明らかにするためには、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本のすべてが必要となりますが、保存期間経過による廃棄や、戦災・震災による消失などで、除籍(改製原戸籍)謄本の発行が受けられない場合もあります。

たとえば、平成22年の戸籍法施行規則改正まで、除籍簿の保存期間は80年とされていたので、保存期間の経過により廃棄されていることがあります。また、東京都内の市街地に本籍地があった場合などで、関東大震災や第二次世界大戦の大空襲などにより戸籍謄本の原本が焼失して、再製が不可能になっているケースもあります。

1.除籍(原戸籍)の一部が取得不能な場合の相続登記

上記のような場合、取得できなかった除籍(原戸籍)以外の戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍)により、他に相続人がいることが推認されないならば、取得できた戸籍謄本などの他に「除籍謄本(または、改製原戸籍)が交付できないことについての市町村長の証明書(告知書)」、および相続人全員の作成による「他に相続人はいないことの証明書」を添付することで相続登記申請をするのが登記事務の取扱いです。

平成28年3月11日付けで下記の通達がなされたことにより、「他に相続人はない」旨の相続人全員による証明書は不要となりました。

除籍等が滅失等している場合の相続登記(通達)(平成28年3月11日付け法務省民二第219号)

相続による所有権の移転の登記(以下「相続登記」という。)の申請において、相続を証する市町村長が職務上作成した情報(不動産経記令(平成16年政令第379号)別表の22の項添付情報欄)である除籍又は改製原戸籍(以下「除籍等」という。)の一部が滅失していることにより、その謄本を提供することができないときは、戸籍及び残存する除籍等の謄本に加え、除籍等(明治5年式戸籍(壬申戸籍)を除く。)の滅失等により「除籍等の謄本を交付することができない」旨の市町村長の証明書が提供されていれば、相続登記をして差し支えない。

2.他に相続人がいないことの証明書の書式・記載例

他に相続人がいないことの証明書は下記のような事項を記載し、相続人全員が署名押印(実印)し印鑑証明書を添付します。

他に相続人がいないことの証明書

 最後の本籍 東京都千代田区神田小川町一丁目○番地
 最後の住所 東京都中央区日本橋本町一丁目○番○号
       被相続人 東京 太郎(平成○年○月○日死亡)

 上記の者の相続人は私たちだけであり、他に相続人はいないことを証明します。

 平成○年○月○日

     本籍 東京都文京区本郷三丁目○番地
     住所 同所○番○号
        相続人  (署名・押印)

     本籍 東京都豊島区巣鴨一丁目○番地
     住所 東京都豊島区池袋三丁目○番○号
        相続人  (署名・押印)

上記のような独立した書面にせず、遺産分割協議書の中に「他に相続人はいない」旨を記載しても差し支えありません。ただし、この証明書は相続人全員によらなければなりませんから、持分なきことの証明(特別受益証明書)を出している方からの証明も必要です。

なお、過去帳に基づく寺の証明書により、ある相続人の死亡、およびその方に子がなかつたことを認定することができる場合には、相続人の証明書の提出を要しないとされています(昭和55年2月14日付民三第867号民事局第三課長回答)。

3.除籍(改製原戸籍)謄本の交付ができない旨の告知書

市区町村長による、除籍謄本(改製原戸籍)の交付ができない旨の証明書(告知書)は次のようなものです。除籍簿が置かれていた、市区町村で交付を受けます。

告知書

 本籍 東京都○○
 筆頭者 ○○ ○○
 消除年月日 不詳

 上記の除籍簿および東京法務局に保管の副本は、昭和○年○月○日に戦災で焼失しました。このため再製することができないので、除籍の謄本は交付できません。

 平成○年○月○日

    ○○区長 ○○ ○○

告知書

 本籍 東京都○○
 筆頭者 ○○ ○○
 除籍(改製)年月日 大正○年○月○日

 上記の除籍簿(改製原戸籍簿)は、保存期間を経過し廃棄済みのため、除籍(改製原戸籍)謄本は交付できません。

 (以下、省略)

(最終更新日:2016/06/13)

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